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頭の中に残ったことば

書きたいと思って下書き・保存したままになっていた事について今回は更新すべく書く事にしました。

 
少し前の話題になってしまいますが、今年6月 萩尾望都さんの新刊「ポーの一族 春の夢」が発売されました。読まれた方もいると思いますが、私も読みました。「ポーの一族」は私が生まれる以前から発表されていた作品なので、当然リアルタイムで読んでいた訳ではないのですが、40年ぶりの新作という事を知って驚きとともに、ほんとにすごい事だなと、その年月を想像してしまいます。
作品の内容や感想についてはここでは割愛させていただきますが、それと同じくらい、見開きカバーの内側に書いてあった作者のメッセージにグッとくるものがありました。
ものすごくサラッと書かれてましたが、「絵も顔も変わりました。歳月を感じます」という一言。本当に重みのある言葉だと思いました。
私は普段は美術とは全く関係のない仕事をしていますが、その仕事柄、“見え方の質”みたいな事について色々考えさせられる機会が多いです。
年月とともに見え方の質が低下してしまう事は誰しも避けられない事実で、自分もこのまま順当に歳を重ねていけば、いずれぶつかる壁だとずいぶん前から覚悟しているのですが、そうなると今みたいな感じで絵を描く事も難しくなるのかもしれないな、とも思います。
もちろん見え方が変われば、その状況に合わせて描く絵を変えていけばいいと思うので、別にそこを悲観している訳ではないのですが、その一方で今しか描けない表現があるとも思うので、やっぱり時間を無駄にはできないな、と思うし、又、待ってもくれないな、とも思います。
今、年間に描ける絵の枚数がとても少ないので、逆算すると今の様な感じで描けるのは、あと何枚くらいなんだろう?とか考えるとすごい焦燥感に駆られますが、時間と成長が全く比例してなくて、困ったものです。
漫画の話からこんなところへ話題が行き着いてしまいましたが、これらをひっくるめて、さらにまた私が経験していない・想像すら及んでいないあれこれをもひっくるめた上での、あのメッセージだったのかと思うと、とてもとても心に残った一言でした。