5月末から6月上旬にかけて京都で個展をします。
久しぶりの展示ですが、久しぶり過ぎてまぁまぁ会期が近づいてきた今になっても、まだなんとなくぼんやりしている始末。GW中に色々と詰めていきたいところです。
詳しい情報はまた後日改めて書きたいと思います。
お近くにお越しの際はお気軽にお立ち寄りください。
先月は数年ぶりに京都にある芸術系大学の卒業制作展へ行ってきました。母校へはなかなか行けずじまいですが、やはり色んな人の作品を見るのは面白く、昔は興味の薄かった分野も今観るといいなぁと思えたりといろいろでした。(具体的には保存修復や模写など)
それから少し時間が余ったので、京都国立近代美術館でやっている『リュイユ』も観に行ってきました。今回はその事について書こうと思います。
「リュイユ」とはフィンランドのアイデンティティが現れた織物と言われているそうです。
私はこのあたりの知識がないので(他もないけど)、はじめはリュイユを作家名かなにかかと勘違いしており、何も知らないんだなぁという現実にいきなりぶち当たっていました。
深みのある色と暖かみを感じるデザインはいつまでも眺めていたくなります。
アクセリ・ガッレン=カッレラ 『炎』(1983年制作)。炎とは意外なタイトルでしたが、それぞれにタイトルがあり、それを見るのもとても楽しいです。
様々な組み合わせ。何がそうさせるのか、眺めていると気持ちがふかふかして柔らかくなってくる気がします。
絵画のような大きなリュイユはとても迫力がありました。そして周りの空気をどこか暖かく包んでくれるよう。深みのある赤がとても綺麗。
リュイユと一緒に観れるコレクション展もとても良かったです。布と糸でこんな絵画のようなことができるのかと驚いたりしていました。改めて工芸って様々な可能性があるんだなと感じていたのですが、昔工芸科に在籍していたにもかかわらず、学生の頃はその可能性に気付けず、今となっては当時の自分の未熟さが歯痒い限りです。あの頃は今ほど作品を見たりする事も出来なかったので、仕方がないと感じる部分もあるのですが、当時の教授が「少年老い易く学成り難し」とよく言っていた言葉が今頃になって身に沁みています。
コレクションには書家の作品もあり、正直この分野のことは何一つ知らないのですが、線のもつ緊張感が異次元でかっこよく痺れました。大変見応えがありました。
引き続き、時間とお金、そして体力の許す限り色んなものを観に行きたいものです。
新しい年を迎え、あっという間に1月も終盤となってしまいましたが、皆さまいかがお過ごしでしょうか?
私は年末から飼っている猫(19歳)が体調不良となり、不安の中、年末年始を過ごしていました。しかし、おかげさまで猫は回復、今はすっかり元気になり、ホッとしているところです。正月が終わった頃にようやく一人遅れて正月が来たような安堵感につつまれています。
新年最初のブログなので、ここで今年の抱負などを書こうかなと思ったのですが、特に人に言うほどのこともないのでやめておきます。
しかし、抱負とまでは言わずとも、やりたい事はあります。
特に目新しいことではありませんが、それは読んだ本や映画、美術鑑賞等の感想を記録して残しておくことです。
以前もやろうとしたことはあるのですが、あっさり挫折。しかし、昨年津村記久子さんの『やりなおし世界文学』を読んだことをきっかけにまたやってみようかな、という気持ちになりました。
読まれた方もいらっしゃると思いますが、この本は古今東西の文学作品92作を津村さんが読み、その感想を記したものです。92作中、自分が読んだことのある本はごくわずかしかなく、ほとんど知らない(もしくは知っているけど読んだことがない)本ばかりでしたが、大変面白く、「どうやったらこんな文章が書けるんだろう」と感心していました。
そうしていると、その後、同作家の『苦手から始める作文教室・文章が書けたらいいことはある?』が発売され、その秘密を探るべく読んでみたところ、こちらも大変面白く、参考になる点が多くありました。
具体的にはメモの取り方です。読んでいて、これは実践したいと思いました。そして密かに今月から実行しています。
これは完全に自分の趣味としてやっていることなので、人に見せるつもりもないのですが、ブログもネタ切れで滞りがちな昨今、気が向いたらここにも書くかもしれません。その時はゆるく読んでいただけたらありがたいです。
新年の挨拶としながらだらだらと書いてしまいましたが、今年もどうぞよろしくお願い致します。
先日、ずっと欲しいと思っていた本『美しい自然の色図鑑 1000点の博物画でひもとくカラーチャートの歴史』(編集パトリック・バティ)を購入しました。本当に美しい本で、こんな色を自分も使えるようになりたいなぁと暇をみつけては眺めています。
最近はずっとドローイングを中心に制作していたので、色はほとんど使っていなかったのですが、そろそろ再開したい気持ちになっています。
そんななか、先日いつもお世話になっているMATSUO MEGUMI+VOICE GALLERY pfs/w が運営している a3 project のオンラインショップに新作2点を掲載していただきました。ご興味ある方は、お時間あるときにでもどうぞご覧ください。
「いつまでも合わない焦点」2022年制作
「見つかってはいけない」2022年制作
寒暖差の激しい季節ですが、みなさまお体に気を付けてお過ごしください。では、また。
この夏、一つの映画館が休館されました。兵庫県豊岡市にある豊岡劇場です。
同県在住とはいえ、なかなか気軽に行ける距離でもないため、今回休館を前にして初めての訪問となりました。
行ってみて「こんなに良い映画館があったのか。しまったな……」というのが正直な感想。こういうのって、他の事でもそうですけど、大体気付くのが遅いんですよね。
古くてもよく手入れされている事が伝わってきました。そして、とても映画に集中できる場所だな、と感じました。映画好きにはたまらないというか。
時期は未定のようですが、また再開される予定という情報を見たので、その日を楽しみに待とうと思います。
ちなみに観た映画は塚本晋也監督の「野火」。実は今回観るのが初めてでした。原作もいつか読もうと思いつつも、なかなか手が出せずにいたのですが、この夏、思いがけず古本が自分の手元に巡ってきたので、これを機に映画も観てみようと思い、今回の訪問につながりました。
原作はこれからしっかり読む所存です。
6月某日、京セラ美術館で開催中の「ポンペイ展」へ行ってきました。(〜7月3日まで)
79年のある朝、ヴェスヴィオ山の噴火が始まり、埋没してしまったポンペイ。
およそ2000年前と聞くだけで、その当時の生活を想像することはかなり困難ですが、目の前に並んでいる展示品の数々を眺めていると、なぜ2000年も前にこんなものが作れてしまったのかひたすら驚くばかりでした。
ポンペイは貧富の差が激しい格差社会だったようですが、それにしてもこの豪華さ…。細部へのこだわりが凄まじい。
そして今回のポンペイ展で1番観たかったのはモザイク画。
実際に観るまでは、もっと大ぶりでざっくりした作りだろうと勝手に予想していたのですが、かなり繊細に作られていてびっくり。素晴らしかったです。
個人的には「ネコとカモ」「イセエビとタコの戦い」がツボでした。
これ、犬のフォルム完全におかしいよな、と思いつつ見ていましたが、「じゃあ、どこを直すの?」と聞かれれば、そんな隙はどこにもない。
この絶妙さ加減にため息がでます。
様々な心躍る豪華な品々と共に展示されていたのがこちらの奴隷の拘束具。
これ、実際に噴火が起こった時はどうだったんだろう?拘束されている人はいたのだろうか…?など考え始めると、やはり観る側も楽しいだけでは終われないな、という気持ちになりました。
最後にテーブル天板(通称「メメント・モリ」)を。
自分への記録という意味合いの方が大きいのですが、鑑賞日記はまた書いていきたいです。
出来る限り多くの素晴らしいものを見に行けるといいなと改めて感じつつ、今月のブログを終了をしたいと思います。では、また。
この頃ワオキツネザルが特に気に入っていて、よく作品の中に登場しています。いい顔してるなあ。
グループ展『ある春の佇まい』が終了しました。会場へお越しいただいた皆さま、ありがとうございました。
私は過去の作品を中心とした展示となりました。最近はずっとドローイングを中心に描いていたので、色を扱う事から少し離れていたのですが、久しぶりに過去のペインティングを観ていると、そろそろ色を使いたい気持ちになってきました。
(単純に暖かくなってきて、周りの風景が鮮やかに彩りはじめたためかもしれませんが……)
とはいえ、ドローイングはそれはそれでなんとも面白く感じているので、まだ少し描き残した・描ききれていないと思うものも描いていきたいです。
この一年、ハガキサイズのドローイング日記のようなものを制作していたのですが、先月でようやく一年分が完成しました。現時点ではまだ何も決まっていませんが、いずれまとめて展示できるような機会があれば良いなと考えています。
これまで動植物を描くのはありきたりな事なのかな、と思う事もあったのですが、最近は当たり前と思っていた事が突然当たり前ではなくなる事を身を持って感じる日々なので、やはり流行りに流されることなく、自分が良いと思うものを信じてやっていくのが一番いいのだな、改めて感じています。
「いつまでもさえずる春を」2017年制作
数日前から世界で信じられないような出来事が起こっています。その悲痛な映像やニュースを見る度に言葉を失い、ここに書くべき事を見つけることも出来ません。多くの人が1日でも早く平和な日常取り戻せますように。
先月のブログにも書いたドローイング日記、今月分も無事に描き終えることができて、ホッとしているところです。
仕事をしたり何か別の事をしていても、常に頭の片隅にその事があるので、なんとなくずっと緊張状態が続いている感じがあります。
なので、完成した時だけに訪れる束の間の解放感……
一応来月(2月)分が完成すれば1年分が出来上がる事になるので、あともう少し頑張りたいです。
仮にも今年初のブログなのにいきなりラストスパートとかタイトルをつけてしまって、どうなの?という感じもしますが、まぁそこは気にしないで下さい。
そして今年もよろしくお願いします。
ブログもゆるく続けたいと思っています。若干ネタ切れになっているのは今を象徴しての事だと思ってください。では、また。
2021年3月から毎月6枚葉書サイズの日記のような日々のドローイングを描き続けています。
とりあえず1年は続けるつもりでいるので、もうだいぶ後半にさしかかっています。そして描きながら動物観察の必要性をひしひしと感じました。
そんな訳で、今月ようやく動物園の年間パスを購入。
これがどういう結果につながるのかはわかりませんが、2022年、作品がもっと良い方向へ向かうよう精進してゆきたいです。
これらのドローイング作品はvoice gallery (京都)の常設コーナーで作品を入れ替えつつ展示しています。
開廊中ならいつでも観れますので、機会がありましたら是非ご覧ください!
(下記作品は近作の一部です)
コロナ禍になって読書をする人が増えた、という記事をどこかで読んだ気がするのですが、私もそのうちの一人だと思います。真の本好きには足元にも及びませんが、以前に比べるとやはり増えたな、と感じています。
そんな中、少し前に武者小路実篤の復刻版『カチカチ山と花咲爺』の存在を知りました。インターネットで偶然見つけた時、その挿絵がなんとも魅力的だったので詳しく見てみると、岸田劉生によるものでした。教科書にも載っているようなあの有名な油絵たちもすごいと思うけれど、個人的にはこちらの挿絵にグッと心を掴まれ、何度も眺めている日々です。
復刻版とはいえ、昔の本はとても丁寧に作られていて本当に素晴らしい。それでいて物語の表現が容赦なかったりしてますます痺れてしまいます。
私が知らないだけで、良い本というのはまだまだ沢山あるのでしょうね。
全ては無理だとしても、ひとつでも多く出会えれば嬉しいなと思います。
毎年楽しみにしているKYOTOGRAPHIE。今回は秋に開催ということで、10月某日に行ってきました。時間の都合で全会場には行けず、ごく一部しか観れませんでしたが、とても見応えがありました。
二条城。片桐功敦『Sacrifice』。
ダミアン・ジャレ& JR『防波堤』。映像作品では人間の関節を感じさせない動きに脱帽。 釘付けになって観ていました。
今回特に気になっていたのが、両足院(建仁寺内)で展示していたトマ・デレームの『Légumineux 菜光 - ヴェルサイユ宮殿菜園の古代種 - 』。
古代種の野菜、実際に見てみたいものです。そして実際に調理するときはどんな風にしていたんだろう?と色々想像していました。
八木夕菜『種覚ゆ』。種は本当に気になるテーマの一つ。自家採種を続けている岩崎政利氏の活動は大変興味深いです。
来年は4月から5月に開催のようなので楽しみです。次回はもう少し沢山の会場に行けるといいなあ。
(*作家名敬称略)
今月30日でようやく緊急事態宣言が解除されるというニュースを見て、少しだけほっとしたような気持ちになっていますが、皆さまいかがでしょうか?
とはいえ普段従事している仕事の事を含め考えると、私自身が海外へ行けるようになるのはまだもう先の話になりそうです。せめて食を通して脳内旅行できればな、と思う日々です。
長雨が続いた8月。お盆も雨でした。
こんな天気が続くと湿気が気になり、先日天気の良い週末を利用して保管している額のメンテナンスを行いました。
(気をつけないとすぐにカビが発生してしまうのです)
額の整理とともに古い作品を見ていると、「こんなのも描いてたなぁ」というものがでてきて、少し懐かしい気持ちになりました。
しかし、時間が経ってみると、正直もっと描けたのでは?と思うものも沢山あったり。もちろん描き込めばよいというものではないのですが、それにしてもどちらにも振り切れていないな、ということが時間と共によくわかるようになってきました。
今はひたすら葉書サイズのドローイングをコツコツと描いている日々ですが、始めたばかりの3月と比べると少しずつ変化しているようにも思います。
1年経過した後の変化をみるのが少し楽しみです。
今はとても小さな世界を描いていますが、それをもっと徹底した強固なものにしたいです。自分自身に期待してゆければ。
祝日の定まっていないカレンダーって存在し得るんだなぁと思った2021年7月。19日って仕事あるの?ないの?なんて話していたのが遥か遠い昔の様にも感じます。ニュースなどを見ると現実が想像を上回る日々が続いていますね。
写真は今ずっと続けて描いているハガキサイズのドローイング。今月の一枚です。
タイトルは『2021年7月19日(月) 海の日の移動』です。亀が「なんか今日海の日じゃないらしいよ」と言いながら退散してゆくイメージで描いたものです。
仮タイトルのつもりで何気なく「下半期へ」と書いてみたところ、「え?まじで?」と改めて驚いてしまう6月の最終日。
正確には驚くというより焦るという感じですが。
無意味に焦っても仕方ないので、今月見た海の写真を眺めて落ち着こうと思います。
それにしたって、モヤモヤする夏がもうすぐそこ……!
3月から描き始めた葉書サイズのドローイング日記。4月・5月分が完成しました。
各月6枚ずつで、今回は月毎に額装してみました。
6月の週末、VOICE GALLERY(京都)で展示する予定ですので、このような状況ではありますが、機会があれば無理のない範囲でご覧いただければ幸いです。(詳細はギャラリーホームページをご覧ください)
5月はわりと本を読む時間が多かったような気がします。(といっても読むのが遅いのでそんなに沢山読めたわけでもないのですが)
それにしても、読みたい本が芋づる式にあれもこれもと次々とでてきてどうしようかな。
まさか今年のGWも自粛生活を余儀なくされるとは予想していませんでしたが、相変わらずの…というか、1年前よりも何もかもが深刻化していて大変な今日この頃。皆さまいかがお過ごしでしょうか?
気鬱になってはいけないと思い、先日癒しを求めて購入した ラ・トリニテーヌのキャット缶!猫好きにはたまらないクッキー缶です。
あと、好きな作家の本もいくつか購入し、今年の連休も家で過ごすための準備をしていました。
ゆっくり出来る方とそうでない方、それぞれ取り巻く環境は異なるとは思いますが、何はともあれ、皆さま、どうぞ体調にお気をつけてお過ごしください。
それから、4月の毎週末にvoice galleryで展示していました葉書サイズのドローイングがa3 projectオンラインショップに追加されました。
お時間あるときにでも、ご覧いただければ幸いです。
ちなみに、葉書サイズのドローイングはまだまだ続けていこうと現在進行形で制作中ですので、いつかまとめて展示できたらいいなと思っています。
様々な植物が芽吹き花咲く季節となりました。そんな3月に描いたドローイング(*)7点を4月の週末、VOICE GALLERY(京都)にて展示します。
小さな作品で、絵日記のような感じで描いています。
季節柄、爽やかな写真をアップしてますが、別に爽やかな毎日を過ごしているわけでもないので、機会があればそのあたりは作品を見ていただけると嬉しいです。
これはとある一日。お気に入りのバンドのライブ配信のアーカイブを観まくっていた日のドローイング。
観る人がどう思うのかはちょっとわかりませんが、自分で描いていて面白いので、もうしばらく続けてみたいと思っています。
(*都合により6点に変更になりました。2021.4.7.訂正)
この時期に多いのが引っ越しですが、そういう私も引っ越ししました。
そして今日は退去立ち会いの日。なにもなくなった部屋を点検してもらい、無事に引っ越しが完了してホッとしているところです。
この部屋にいた期間は短くて、引っ越ししてしばらくしたらコロナ禍になってしまったという事もあり、部屋に関する思い出とか思い入れのようなものもなんだかよくわからないままに去っていくことになり、本当に仮住まいだったな…という気持ちです。
たぶんもう二度と行くことのない部屋だけど、数年後どんな風にここを思い出しているんだろう?
新しい年を迎えしばらく経ちますが、皆さまいかがお過ごしでしょうか?
昨年末に身内に不幸があり、しばらく落ち着かない日々を過ごしていました。
ブログもすっかり滞っておりましたが、今年からまた気持ちを新たに再開したいと思っています。(といっても目標は月1回の更新なのですが……)
ブログに限らず何であれ、一旦中断してしまうと再開するのに結構なパワーを要するな、とひしひしと感じる今日この頃。
制作についても私はどこかのギャラリーに所属しているわけではないので、誰かにお尻を叩いてもらうこともなく、又、身近なところで同じように制作していたり、美術の仕事にたずさわっている人もいないので、良くも悪くも全てが自分の意志次第です。
だからもし仮に気持ちが折れて制作を中断してしまうような事があれば、もう戻ってこれないかもしれないな…と常々感じています。
そんなわけで、今年も自分のペースでいいので気持ちが折れることのないようコツコツとやっていきたいな、と思っています。
遅くなりましたが、本年もどうぞよろしくお願いいたします。
小学生の頃、1番苦手だった夏休みの宿題は読書感想文だった。
本を読むのが嫌いだったわけではなく、当時は何を読んで何を書けばよいのか…という事がわからなかった。
だから候補として挙げられていた推薦図書を読み、ただひたすらあらすじをなぞり、最後に「面白かったです」「◯◯が良かったと思いました」「○○に感動しました」等のお決まりのフレーズで締めていた。そう書いておけば絶対に非難されることがないという事を子供ながらに会得していた私はひたすらそうやって原稿用紙を埋めていた。そして、読書感想文なんてそんなものだと思っていた。
そんなある日、クラスの女の子の1人が読書感想文のコンクールか何かで賞をもらい、その文章を読んでとても驚いたのを今でもよく覚えている。
本のタイトルは忘れてしまったけれど、彼岸花について書かれた本だった。
そして彼女は本のあらすじなどにはほとんどふれず、彼女にとって彼岸花がどういうものなのか…というような、その具体的な内容は忘れてしまったけれど、真っ赤な彼岸花が目の前にサッと現れるような、鮮やかな文章だった。物語のあらすじをなぞっているだけの自分とは全く別のもので、私は初めてそうやって文章を書いてもいいんだという事を知った。
なぜこんな事を急に書いたかというと、今が彼岸花の季節だからです。先日散歩していて、彼岸花を見つけ、あぁ、もうそんな季節なんだなぁと思うと同時に、また彼女の読書感想文のことを思い出しました。
学校がすすめていた本は当時の自分には興味のないものが多く、それより小学生の頃、江戸川乱歩の推薦小説を熱心に読んでいたのだから、その感想文を書けばよかったな、と今なら思う。そういう選択肢に全く気付けてなかったな…そして今もあるはずなのに見えていない選択肢がきっとあるんだろうな、などとぼんやり思う。
おまけの白い彼岸花。初めて見た。
2020年6月、お世話になっていたホテルが新型コロナウイルスの影響を受けて閉館することとなりました。
2001年から2006年にかけて企画されていた『art in transit』を通じて、客室に作品を展示させていただき、その後もロビーで展示させていただいたりと、活動の場を提供してくださったホテルには大変感謝しております。
今回、その特別展として『art in transit : THE FINAL』が MATSUO MEGUMI+VOICE GALLERY pfs/w にて開催されました。
ご高覧いただいた皆さま、ありがとうございました。
このようなことがなければ、もっと長く続けられたであろうことを思うと、残念な気持ちでいっぱいです。
そして、私も今後の活動のあり方について考えていかなければなりません。
とはいえ、正直どうしたものかな…と思う日々なのですが。
制作以外のことがどうしても苦手なのですが、いつまでもそんな事を言ってる場合ではないので、しっかりせねばな、と思います。
今はなかなか新しい“何か“との出会いが難しい状況ではあるのですが、何らかの兆しが感じられた時、パッとそれを掴むことが出来るように日々準備しておきたいな、とは思っています。
以下は、過去のホテルロビーでの展示風景です。
今月、久しぶりに美術館へ行ってきました。
兵庫県立美術館で開催中の『ミナ ペルホネン/皆川明 つづく』です。
予約制なので、これまでのようにフラッと行ってフラッと帰る…ということが出来ないので、少し窮屈な気持ちになってしまいますが、それでも好きな場所へ足を運ぶことができるのはとても嬉しいことです。
行かれた方も多いかもしれませんが、今月はその様子を少し書いてみることにします。
展示室の壁一面に展示された洋服は圧巻。
そして様々な生地やデザインをみていると気持ちがとても明るくなります。
実際に買えるかどうかは別にしても、「もし自分が着るならどれがいいかな?」と考えながら見るのはとても楽しい。
ド派手なコートが欲しくなったり
あれもこれも素敵で目移りするばかり
生地になる前のアイデアスケッチもとても興味深かったです。私も、もっといろんな素材で描いてみようかな…と思いました。
そして、素材から放たれるぬくもりの強さにグッときました。
展示方法も様々な工夫がされてあり、とても勉強になりました。
ミナペルホネンの洋服は1着も持っていないのですが、いつかお気に入りの1着が欲しいです。
(以前、京都にある店舗に行ったことがあるのですが、どれもとても素敵でした!見てるだけの客でごめんなさい…と思いつつ)
おまけ。コレクション展で観たジョージ・シーガルの『ラッシュ・アワー』。
見て思う事が、以前と少し変わったな…と思う今日この頃です。
紫陽花を見たり、燕の観察をしたり、猫の絵を描いたり。そして本を読んだり、煎餅を食べたりした6月。
日記というのはささやかであればあるほど興味深いなぁと思う。snsでも人々の日常は垣間見れるけれど、同時に静かに読める日記もあってほしいな、と感じてしまう。写真の本とは別の面白そうな日記を某サイトで見つけたので、昨日取り寄せてみることにしました。
数日後に届く予定ですが、今から楽しみです。
自宅で過ごすことが多くなった今、映画を観たり、本を読んだりと、インプットする時間が増えました。
映画はuplinkの60本見放題を購入したので、もっぱらそれを観ています。
本も映画も、今は国内のものより海外のものを見たり読んだりしたいなぁと強く思うようになってきました。
そんな中、先日偶然インターネットで知った『歌う悪霊』という絵本を購入してみました。
北アフリカのサエル地方に伝わる昔話らしいのですが、「みんなを笑顔に」とか、「幸せな日々の暮らし」といったものからは遠く離れた話ではあるのですが、長い年月を経てもなお残っている物語の力強さというか、底力のようなものを見せつけられた気がしました。
絵本のことは特に詳しくないのですが、これはかなり圧倒的なものを感じてしまいました。そして嶋田完蔵さんの訳がなんとも素晴らしい。
ご興味ある方は是非。(話はちょっと怖いです)